• 電話0797-38-9891
  • 住所〒659-0025 兵庫県芦屋市浜町9-9

胃、十二指腸の疾患と検査

ピロリ菌感染症・ピロリ感染胃炎

ヘリコバクターピロリという細菌(ピロリ菌)に幼児期に感染するとピロリ菌が胃の中に住みつきピロリ感染胃炎を引き起こし、さらに胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんの原因となります。国連(WHO)は1994年に「ピロリ菌は人類にがんを引き起こす唯一の細菌で、胃がんはピロリ菌感染症により発症する」ことを決定し、ピロリ菌の除菌治療の普及による胃がんの撲滅を提唱してきました。現在ではピロリ菌対策が胃がん撲滅対策そのものであることはみなさん周知の事実です。ピロリ菌の除菌治療により胃がんの予防が可能なことより、H25年(2013年)2月21日よりわが国ではピロリ菌の診断と治療を行って国民すべてのピロリ菌感染症を治療することで将来わが国から胃がんを無くそうという方針を打ち出し保険診療で国民全員のピロリ菌治療を可能としました。ただし厚生労働省はピロリ菌の診断と治療をする前の胃カメラを義務づけています(胃がんの見落としを防ぐためと胃がんの危険度を判定するためです)。国連は2014年にピロリ菌の除菌治療による胃がん撲滅の勧告を全世界の国々に向けて出し、世界に先駆けて全国民のピロリ菌診療を保険診療で行う取り組みが評価されてわが国は国連より表彰されました。腹部症状(食道や胃の不調)のある方、胃がんの家族歴のある方、胃がん検診で異常を指摘された方は胃カメラピロリ菌検査を受けることが推奨されています。

ピロリ菌って何ですか?

胃の中にいるピロリ菌の写真
胃の中にいるピロリ菌

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診療はピロリ菌が原因であることが発見され大きく変わりました。今までは一生再発を繰り返すと言われてきた潰瘍がピロリ菌の除菌治療により再発することがまれとなりました。また、わが国は長寿社会となり心筋梗塞や脳梗塞で血をサラサラにする薬(アスピリン)を飲まれている方や整形外科で鎮痛剤を飲まれている方が多くなりました。ピロリ菌感染に加えてこれらの薬を飲まれている場合は胃潰瘍ができやすくなっています。ご高齢の方では穿孔して腹膜炎になったり大出血してショック状態になったりするまで胃痛などの自覚症状がない場合もあり注意が必要です。胃痛のある方や高齢でアスピリンや鎮痛剤を飲まれている方は胃カメラピロリ菌検査を受けることが推奨されています。

機能性ディスペプシア(症候性胃炎)

最近では胃炎は大きく分けて2つにわける考え方が広がってきました。組織学的胃炎と症候性胃炎の2つです。組織学的胃炎はピロリ菌感染症によるピロリ感染胃炎と同義語です。
一方もう一つの症候性胃炎はピロリ感染胃炎でないにもかかわらずストレスなどが原因となって胃痛や胃もたれなどの胃の不調を訴える病気で現在は機能性ディスペプシア(世界統一の病名)と呼ばれ、かつて「神経性胃炎」とか「ストレス胃炎」と言われていたものに近い感じです。機能性ディスペプシアの診断には胃カメラピロリ菌検査によるピロリ感染胃炎の否定が必要です。

胃がん

がん死亡原因の第1位を占めてきた胃がんは近年その座を譲りましたが(男性1位は肺がん、女性1位は大腸がん)、現在も日本で最も多いがんは胃がんです。胃がんはピロリ菌感染症が引き起こす病気で、ピロリ菌感染症でない方から胃がんが発症することは極めてまれです。ピロリ菌の除菌治療により胃がんの予防が可能なことは先ほど述べたとおり周知の事実で、我が国は2013年からピロリ菌の除菌治療による胃がんの撲滅に乗り出しました。除菌治療による胃がんの予防は年齢が若いほど効果が高く20~30歳代で行えばほぼ100%の胃がん予防が可能です。がん年齢となる45歳ぐらいまでに除菌治療をされるのが理想で、それより高齢の場合は胃がんにかかる頻度を減らすことはできますが完全な予防はできなくなりますので、できるだけ若い年齢での除菌治療が推奨されています。当院のような専門医療機関ではピロリ感染胃炎の状況から胃がんの将来の危険度を判定しています。厚生労働省はがん年齢の方は除菌後の定期的な胃カメラを行うことを推奨していま す。定期的な胃カメラで発見される胃がんはほとんどが早期がんで外科手術をせずに内視鏡手術で治癒させることが可能です。

胃ポリープ

胃にもさまざまなポリープが発生します。ピロリ感染胃炎に関連して発生するポリープとしては過形成性ポリープと胃腺腫があります。一方、ピロリ菌未感染の正常な胃の場合は胃底腺ポリープが発生します。過形成性ポリープはピロリ菌の除菌治療で通常は縮小消失しますが、大きなもので出血する場合などは内視鏡的切除を行うことがあります。また、大きなものはまれにがん化することがあります。胃腺腫は大腸ポリープと同じく胃がんの芽ですので内視鏡的切除が必要です。胃底腺ポリープは腫瘍ではなくむしろきれいな胃の目印となるもので治療の必要はありません。また、胃には他にも粘膜下腫瘍やGIST、カルチノイド、悪性リンパ腫といった腫瘍ができることがあります。

モバイルサイト

http://www.nishiwaki-clinic.com/

モバイルサイトはこちらのQRコードをご利用ください。

文字サイズ
  • 大
  • 中
  • 小