口、のど、甲状腺の疾患
のどが渇く
のどの乾きを訴える方が多くみられますが、薬剤の副作用によるものが多いようです。しかし、シェーグレン症候群(唾液の出なくなる膠原病)、糖尿病、などのいろいろな病気がのどの乾きからみつかります。
慢性の咳
慢性の咳もよくみられる症状です。かぜのあとの感染後咳嗽や咳喘息などの呼吸器疾患や副鼻腔気管支症候群などの耳鼻科疾患以外にも逆流性食道炎が原因となっているものも多くみられます(食道疾患を参照)。当院では肺結核、非結核性抗酸菌症、肺がんなどの呼吸器疾患がみつかることもよくあります。
のどのつかえ
のどのつかえを訴える方がよくみられます。甲状腺の病気(橋本病、甲状腺がんなど)、咽喉頭がん、食道がん、胃がんなどの病気が潜んでいる可能性もあり、胃カメラや頚部エコー検査、甲状腺エコー検査(必要ならば甲状腺細胞診検査も)を行う必要があります。また貧血(鉄欠乏性貧血)の方でものどのつかえを訴える方がおられます。
食道疾患
逆流性食道炎
がんこな胸やけをおこす逆流性食道炎 / 胃食道逆流症(GERD)が注目されています。中年太りでおなかの出ている人や血圧の薬を飲んでいる人は胃液が逆流しやすくなります。また、若い女性の非びらん性胃食道逆流症(NERD)(胃カメラでみても異常はいないけど胸やけの症状はある)も注目されています。逆流性食道炎では胸やけでなく咳が症状となることがあります。慢性の咳がなかなかなおらない人や胸やけのある人は食道疾患も疑って一度胃カメラを受けましょう。
食道がん
食道がんは喫煙、飲酒で生じる病気です。アルコール代謝酵素の弱い人がお酒を続けると極めて高率に食道がんにかかることは発がんに遺伝要因と環境要因が関与することのたとえ話として大変有名です。一方、欧米では胃食道逆流症による食道がんが主流で、日本でも今後はそういった食道がんも増えてくると考えられています。50歳を超えている男性でお酒、タバコをたしなまれる方や逆流性食道炎の方は定期的に胃カメラを受けておいた方がよいでしょう。
食道胃静脈瘤
肝硬変で肝臓が硬くなってくるとおなかの内臓からの血液が肝臓を経ることなく食道をつたって心臓へもどるようになり食道壁に太い血管のバイパスが発生します。破れて大出血すると命にかかわります。破裂して大出血するまでは全く症状がないため危険な病気です。あらかじめ診断して適切な時期に治療をしておく必要があります。肝硬変の方やお酒を飲まれる方は肝臓のエコー検査やCTのみならず、必ず毎年胃カメラを受けましょう。